<細胞>

原形質流動 (オオカナダモ)

これは、できれば生徒実験で見せたい材料です。葉緑体を見せるためによく使いましたが、途中で葉緑体が動きはじめて感動している生徒がよくいました。

映像教材も使い方次第。講義や実験観察、さらに問題演習とどのように組み合わせるかが重要です。

原形質流動 (ムラサキツユクサ)

ムラサクツユクサの雄ずいの毛の細胞も観察には適しています。流動しているのはミトコンドリアと白色体です。(小さい粒子がミトコンドリア、白色体はやや大きい)核もよく見えます。

何のために流動するのか?

原形質流動がどのような役割を果たしているのかということは、教科書ではほとんど説明されていません。動いているところを見て、細胞も生きているのだ!と感動するだけでも、もちろんいいと思いますが。

原形質流動は大きな細胞で活発に見られます。大きな細胞では酸素や二酸化炭素の吸収や排出、他の細胞との物質のやりとりなど、拡散だけでは時間がかかります。そのような物質の輸送に原形質流動が、ひと役かっているのだろうと考えられています。

本川達夫著 「ゾウの時間、ネズミの時間」中公新書 の中にたいへん納得できる説明がありますので、ぜひ一読を進めます。(本川達夫氏は歌う生物学者として有名です。)

ニンジン

有色体

貯蔵物質としてカロテンを貯えるために、このようなオレンジ色をしている。
ニンジンの有色体ではカロテンが針状結晶になっている。

← カロテン(carotene)の語源である carrot の由緒正しい?有色体

トウガラシの有色体

赤い色のニンジンやトマトでも細胞を見てみると、意外に有色体が目立ちません。
けれどもトウガラシでは有色体がぎっしりとつまっていました。

液胞の中の美しい結晶

美しく魅力的な細胞の世界を紹介します。

平滑筋(カエルの胃)

染色した平滑筋

動物も細胞からできているという認識は、植物に比べずっと後になりました。組織の固定や染色といった技術が進んだことにより可能になりました。

細胞研究の歴史

細胞説

 細胞説ではシュワンとシュライデンの名前が有名ですが、その前の段階がどのようになっていたのか知りたくて、 「細胞の誕生」 −生命の「基」発見と展開− ヘンリー・ハリス著 荒木文枝 訳 Newton Press を読んでみました。

 植物や動物が細胞から成り立っているということをシュライデンやシュワンが提唱したということとはだいぶ違うようです。シュライデンとシュワンの提唱した細胞説で重要な部分は、どのようにして新しい細胞が誕生するのか、ということだったようで、彼らは細胞の内外で核が結晶のように成長して新しい細胞になるというように考えていました。シュワンとシュライデンのスケッチもそのようなことを説明するものになっています。

 植物が細胞からできていることは19世紀のはじめには研究者の間ではほぼ共通の認識になっていたようです。動物ではチェコのプルキンエが広範な研究により、動物が細胞からできていることをすでに発表しています。


 「細胞学の歴史」−生命科学を拓いた人びと−A.ヒューズ著 西村顕治訳 八坂書房も同じような認識で説明されています。高校の教科書もそのうち書き直されることでしょう。

映像づくりをしていて楽しいのは、思いがけない発見?(個人レベルでのことですが)があったときです。

葉ボタンの裏面表皮では美しい紫色の結晶が見られました。書名がわかりませんが以前、カーネーションの赤いアントシアンの同じような結晶の写真を見たことがありますので、これもたぶんアントシアンが結晶になったものかと思います。水溶性のアントシアンも細胞内の環境によっては結晶になるんですね。

テリハノイバラの茎で立方体状の結晶が一列に並んでいるのも不思議な光景でした。(色は微分干渉顕微鏡によるもの)いったい何の結晶なのか?どんな役割をしているのか?ご存知の方が見えましたら教えていただきたく思います。

ウリ科植物の茎

葉牡丹の裏面表皮

テリハノイバラの茎

細胞共生説

ミドリゾウリムシ

ユレモ

葉緑体の分裂(タチゴケ)

 細胞共生説は1975年のサイエンスの日本語版のリン・マルグリス(正しくはマーギュリスだそうです。)の論文で読んだのが始めでした。その頃はまだ疑問視されていましたが、今では当たり前のことになってしまいました。

 藍藻類(シアノバクテリア)が葉緑体の、そして好気性細菌がミトコンドリアの起源であることはその後の遺伝子レベルでの研究によって確認されましたが、鞭毛、繊毛の起源がスピロヘーターという考え方は否定的な意見が多いようです。(マイコプラズマがミトコンドリアに最も近いそうです。)

細胞レベルでの共生は、現在でも多くみられます。ミドリゾウリムシでは、光合成産物をゾウリムシが得て、クロレラは住み場所と無機物を得るといったような共生のようです。細胞内でのクロレラの量がコントロールされていることも知られています。

ユレモはドブの中のような富栄養なところでよく見られます。魚を飼育している水槽で大発生することもあります。顕微鏡で見ると活発にすべり運動をしています。

コケも葉緑体の観察に適しています。タチゴケなど蘚類で葉状体の薄いものが適しています。状態のいいもので探せばこのような分裂像も見つかります。

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