森の中の植物ではありませんが、もうひとつ変わった生き方をしている植物を紹介しましょう。

秋分のころ、ヒガンバナが田のあぜ道や川原などで真っ赤な花を咲かせています。

ところが、どこを見ても葉がありません。

この植物は葉と花を別々の季節に地上に伸ばすのです。

冬に他の草が枯れてしまうころ、ヒガンバナは地面の下の球根からたくさんの細長い葉を伸ばしはじめます。

そして気温の低い悪い条件のもとで少しずつ光合成をして栄養分を貯えます。

春になってふたたび他の草が生い茂ってくるとヒガンバナは反対に葉をしまって休眠に入ってしまいます。

そして9月の下旬の御彼岸のころに良く目立つ朱色の花だけを咲かせるのです。

花だけが秋に咲くことを除けば、まわりに植物がなく光が十分に得られるときに葉を広げるその生き方はカタクリなどの春植物によく似ています。

このヒガンバナはたいへん謎の多い植物です。

こんなに鮮やかな目立つ花を咲かせるのに種子ができません。

ヒガンバナはバナナやタネナシスイカと同じく3倍体といって細胞の中に染色体が3組もあり、このような植物には種子ができないのです。

繁殖はもっぱら球根が分かれることによって行われます。

田んぼのあぜ道に多いことから考えてこの植物は昔の人がわざわざ栽培していたのではないかと考えられています。

地下の球根には有毒なアルカロイドが含まれていますが、とりだしたデンプンを水にさらせば大丈夫だということです。

中国には2倍体で種子をつくる、コヒガンバナと呼ばれる種類があり、それが現在日本で見られるものの祖先だということです。

突然変異などによって大きな球根をつくる3倍体の株ができ、それを昔の人が育て、現在まで残っているのでしょう。

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−植物の生存戦略−

春の妖精たち

あぜ道のヒガンバナ

ヒガンバナの花

ヒガンバナの葉

毒を含むヒガンバナの球根