冬、樹木は活動をやめ冷たい空気の中で眠っています。

木々は葉を落としているために幹や枝ぶりの特徴がよくわかります。

森の中を見通せるこの時期は動物の観察にも適しています。

山の急な斜面で動いているのはニホンカモシカです。

ニホンカモシカは日本固有の動物で、そのずんぐりとした体つきや厚い毛皮は雪が深くつもるブナの森での生活に適しています。

ブナの実が豊作だった次の年、森にはたくさんの芽生えが見られました。

けれどもほとんどのものは十分な光を受けることができずに枯れていきます。

中には運良く生き残るチャンスに巡り合えるものもいます。

古い木が枯れ、光の射し込む森のすき間ができるのです。

そして何百年もかかって再びブナの大木へと成長していきます。

この森の映像を撮影するために、ブナの森に何度も出かけました。森ではいつも新しい生き物の営みを見ることができ、新鮮な感動の連続でした。

その反対に、りっぱな森がなくなってしまっていて、がっかりすることもありました。

ブナの森の主、ツキノワグマを見たいと5月のはじめ、クマの見られる場所を案内してもらいました。

ツキノワグマは豊かな森の象徴のような動物です。豊富な野草や木の実を食べてクマは生きているのです。

何回か通っても見ることができず、もういなくなってしまったのかと諦めかけていた時、双眼鏡の視野にとうとう黒いクマの姿が現れました。

少し離れたところには親子のクマもいます。

夕暮れ間近、向かいの斜面に遠く、小さく見えるその姿は、まるで映画の中の1シーンを見ているようでした。

この光景がいつまでも、幻になってしまわないでほしいと願わずにはいられませんでした。

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−ブナとミズナラの森−

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